電気工事業は、建設業法第2条第1項の別表第一に掲げる29種類の建設工事のうちの一つであり、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事を指します。電気を安全かつ効率的に利用するための基盤を構築する重要な役割を担っており、私たちの生活や経済活動を支える不可欠な分野です。

電気工事業は、建設業許可業種の中でも特殊な位置づけにあります。というのも、電気工事業を営むには「建設業許可」のほかに「電気工事業の登録」も必要となるケースがあるためです。これは「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づくもので、一般用電気工作物や自家用電気工作物に係る電気工事を行う場合に求められます。

この記事を読むと分かること

  • 電気工事業とは何か
  • どのような工事が含まれるのか
  • 建設業許可が必要となる工事の金額基準
  • 建設業許可申請に必要な要件と書類
  • 経営業務の管理責任者と専任技術者の要件
  • 一般建設業と特定建設業の違いと選び方

電気工事業とは?許可が必要な工事の範囲

出典:建設業許可業者数調査の結果について - 国土交通省

現代建築において電気設備は必須要素でありながら、その工事は高度な専門知識と国家資格を要するため、参入障壁が形成されています。また「電気工事士法」など建設業法以外の法令による二重規制も、この取得率に影響を与えていると考えられます。

電気工事業の建設業許可は29業種の中では13番目に取得率の高い許可業種となっています(令和6年3月現在)

電気工事業とは?許可が必要な工事の範囲

電気工事業は、建設業法第2条第1項の別表第一に掲げる29種類の建設工事のうちの一つであり、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事を指します。電気を安全かつ効率的に利用するための基盤を構築する重要な役割を担っており、私たちの生活や経済活動を支える不可欠な分野です。

電気工事業は、建設業許可業種の中でも特殊な位置づけにあります。というのも、電気工事業を営むには「建設業許可」のほかに「電気工事業の登録」も必要となるためです。これは「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づくもので、一般用電気工作物や自家用電気工作物に係る電気工事を行う場合に求められます。

参考サイト:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/a2p/denki/touroku_shinki.html

電気工事業の内容と具体例

電気工事業は、幅広い範囲の工事を含んでいますが、主に以下のような工事が該当します。

細分類工事内容の詳細具体的な工事例示
発電設備工事        電力を作り出すための設備を設置する工事水力・火力・原子力発電所の発電設備工事、太陽光発電設備工事、風力発電設備工事
送配電線工事電力を送るための設備を設置する工事送電線工事、配電線工事、引込線工事、地中送電線工事
変電設備工事電圧を変換するための設備を設置する工事受変電設備工事、配電盤・制御盤設置工事、変圧器設置工事
構内電気設備工事建物内等の電気設備を設置する工事建物内の電気配線工事、非常用電源設備工事、屋内外照明設備工事
電車線工事鉄道等の電車線を設置する工事架空電車線工事、剛体電車線工事、地下電車線工事
信号設備工事交通信号や警報装置等を設置する工事交通信号設備工事、踏切保安装置工事、列車停車場信号設備工事
ネオン設置工事広告用のネオン装置を設置する工事ネオン看板工事、イルミネーション工事

電気工事業の考え方と他業種との区分

神奈川県の建設業許可事務ガイドラインでは、電気工事業に含まれる工事内容について、以下のような考え方と区分が示されています:

「機械器具設置工事」との違い

業種区分具体的内容
電気工事業に該当するもの電気設備が主体の機器の設置工事、例えば発電機、変圧器、蓄電池、開閉器、コンデンサ、リアクトル、充電設備等の設置工事
機械器具設置工事業に該当するもの電気工事業に該当しない機器器具あるいは複合的な機械器具の設置をするもの

「電気通信工事」との違い

業種区分具体的内容
電気工事業に該当するもの電話交換機、放送機械、テレビ・ラジオ等の受信設備、ネットワーク設備等の設置において、主として電源設備等の電気工事を行うもの
電気通信工事業に該当するもの電話交換機、放送機械、テレビ・ラジオ等の受信設備、ネットワーク設備等の設置において、主として通信・放送等の設備を設置する工事

「消防施設工事」との違い

業種区分具体的内容
電気工事業に該当するもの自動火災報知設備等の設置において、主として電源設備等の電気工事を行うもの
消防施設工事業に該当するもの消防設備、スプリンクラー、消火栓、火災報知器等の設置において、主として消火・警報設備を設置する工事

電気工事業における配置技術者となり得る国家資格等一覧

電気工事業では他の業種とは違い、実務経験のみで専任技術者になることはできません。必ず、第二種電気工事士等、電気工事業に関する資格を持つ有資格者かつ、3年程度の実務経験を終えた人でなければならないと厳しい条件が課せられています。また、この実務経験も必ず電気工事業者として登録のある事業所で働き、それを証明しなくてはなりません。

したがって、いくら10年、15年やってきたベテランといえども、有資格者でなければ配置技術者にはならないのです。

次に示す表は、建設業許可電気工事業の営業所技術者になるために必要な資格です。

  • 2級電気工事施工管理技士
  • 建築設備士(実務経験1年以上)
  • 第1種電気工事士
  • 第2種電気工事士(実務経験3年以上)
  • 電気主任技術者1、2、3種(実務経験5年以上)
  • 建設設備士(実務経験1年以上)
  • 1級計装士(実務経験1年以上)
  • 登録電気工事基幹技能者
  • 登録送電線工事基幹技能者
  • 登録計装基幹技能者

特定建設業に必要な技術者の要件は、一般建設業でも有効です。
一部の資格では、資格取得後に一定期間の実務経験が必要となります。

建設業許可が必要となる工事金額の基準

建設業許可が必要な場合と不要な場合

建設業法では、工事の種類や請負金額によって、許可が必要かどうかが決まります。以下の「軽微な建設工事」に該当する場合は、許可なしでも工事を請け負うことができます。

  1. 建築一式工事の場合(建物の新築・増築など総合的な工事)
    • 1件の請負金額が1,500万円未満(消費税込)
    • または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
  2. とび土工工事業を含むその他の建設工事の場合
    • 請負金額が500万円未満

つまり、とび土工工事業で500万円以上の工事を請け負う場合は、原則として建設業許可が必要です。また、同一の注文者から複数の工事を請け負う場合、合計金額で判断される場合があるため注意が必要です。

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許可なしで工事を請け負うリスク

建設業許可が必要な工事を無許可で請け負うと、建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。また、営業停止処分を受けることもあり、事業継続に大きな影響を与えかねません。

さらに、公共工事の入札参加資格を得るためには建設業許可が必須条件となっているため、これから事業拡大を目指していた事業主様にとって大きな機会損失にもなります。

将来的な事業拡大を見据えて、早めに許可を取得しておくことをお勧めします。

神奈川県で建設業許可を取得するための5つの要件

建設業許可を取得するためには、主に以下の5つの要件を満たす必要があります。

1. 経営業務の管理責任者(経管)の要件

建設業の経営業務を適正に管理できる人材の存在が必要です。具体的には、以下のいずれかに該当する常勤の役員等が必要となります。

  • 建設業の経営業務について5年以上の経験を有する者
  • 経営業務の管理責任者に準ずる地位で経営業務を補佐した経験が5年以上ある者
  • 建設業の経営業務の管理責任者を直接補佐する職務で6年以上の経験を有する者

この要件は「経営能力」を問うものであり、会社の代表者や取締役などの役員が該当することが一般的です。個人事業主の場合は、事業主本人が該当するケースが多いでしょう。

2. 専任技術者(営業所技術者)の要件

各営業所ごとに、とび土工工事業に関する知識と経験を持つ「専任技術者」を配置する必要があります。専任技術者には以下のいずれかの要件が求められます。また、自己申告ではなく、資格証や実務の経験を書類等を用いて証明できなければなりません。特に実務経験10年分を証明するのは非常に困難な場合が多いのが現実です。

  1. 建設業に関する指定学科を修め、卒業後の実務経験が必要年数ある者
  2. 実務経験のみで要件を満たす者
  3. 国家資格等を有する者

専任技術者は、その営業所に常勤して専らその職務に従事する必要があります。兼業や掛け持ちは原則として認められないため、確実に常勤状態を確保することが重要です。

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3. 誠実性の要件

申請者(法人の場合は役員等を含む)が、請負契約に関して不正や不誠実な行為をしていないことが求められます。

  • 建設業法や他の法令に違反して刑罰を受けていないこと
  • 許可の取消処分を受けた場合、取消から5年を経過していること
  • 営業停止処分を受けた場合、停止期間が終了していること

この要件は、社会的な信頼性を担保するためのものであり、法令遵守の姿勢が問われます。

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4. 財産的基礎・金銭的信用の要件

安定した事業運営のための財政基盤があることを証明する必要があります。一般建設業の場合、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 自己資本が500万円以上あること
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること
  • 過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること

特定建設業の場合は、より厳しい基準が設けられており、以下の全ての条件を満たす必要があります。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金が2,000万円以上、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること

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5. 社会保険への加入

建設業許可を得るためには、以下の社会保険に適切に加入していることが必要です。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険

個人事業主と法人の場合、従業員の有無、人数等で保険の加入義務範囲が変わります。詳細は下記の記事をご覧ください。

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営業所の場所で決まる許可の種類

横須賀・横浜を含む神奈川県内で営業所のみを設ける場合は「神奈川県知事許可」が必要となります。

神奈川県だけでなく、県外である東京にも営業所を設ける場合は「国土交通大臣許可」となります。

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一般建設業と特定建設業の違いと選び方

建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があります。主な違いは元請工事における下請契約の金額と、置くべき技術者の違いです。

一般建設業許可

  • 下請工事の総額が4,500万円未満(建築一式工事は7,000万円未満)の工事のみを請け負える

特定建設業許可

  • 金額の制限なく下請工事を発注できる

どちらの許可を取得すべきか

選択の基準は、将来的に予想される工事規模と下請の活用状況です。

  • 小規模な工事が中心で、下請をあまり使わない場合:一般建設業
  • 大規模工事を請け負う予定がある、または多くの下請を使う予定がある場合:特定建設業

まずは一般建設業許可を取得し、事業拡大に伴って特定建設業許可へ移行するというステップを踏むケースも多くあります。神奈川県内、特に横須賀・横浜エリアでは公共工事への参入を目指す場合、将来的には特定建設業許可の取得も視野に入れると良いでしょう。

【神奈川県】横須賀・横浜での申請から許可取得までの流れ

申請書類の作成と確認
申請に必要な書類を確認、収集、作成をします。書類の数は数十種類必要で、経営管理責任者や営業を技術者の証明が必要な場合には、さらに関係書類の収集が必要になります。
県土整備局 事業管理部建設業課へ書類を提出
令和7年3月17日、県土整備局 事業管理部建設業課は下記の住所へ移転しました。
〒231-0021 神奈川県横浜市中区日本大通33番地 神奈川県住宅供給公社ビル5階
書類の提出
申請書の審査
神奈川県では、新規申請や、業種追加申請の許可について申請書の受付後、約50日時間を要します。
更新許可申請は概ね35日間となっています。ただし補正がある場合にはさらに時間がかかります。
許可の通知
許可通知書は、あなたが正式に建設業を営む資格を得たことを証明する公的な書類です。この通知書は再発行されないため、大切に保管することが必要です。万が一紛失した場合は、行政機関に「建設業許可証明書」を申請することになりますが、これには手数料がかかります。
許可の通知

許可後の注意点と更新手続き

許可取得後の注意点!

  1. 建設業許可の有効期間は5年間
  2. 許更新申請は30日前までに行うこと
  3. 営業所ごとに「建設業許可票」の提示義務を守る
  4. 毎事業年度終了後、4か月以内に決算変更届を提出すること
  5. 役員や専任技術者に変更があった場合には30日以内に変更届を提出すること

これらの手続きを適切に行わないと、許可の取消しや営業停止などのペナルティを受ける可能性があります。

FAQ

建設業許可の審査で特に厳しくチェックされる点は何ですか?

A3: 特に厳しくチェックされるのは、経営業務の管理責任者と専任技術者の要件です。経験年数の証明や常勤性の確認などが重点的に行われます。また、社会保険の加入状況や財務状況についても詳細に審査されます。書類の不備や虚偽の記載があると、許可が下りないだけでなく、罰則の対象となる可能性もあるため注意が必要です。

個人事業主でも建設業許可は取得できますか?

はい、個人事業主でも建設業許可を取得することは可能です。ただし、法人と同様に経営業務の管理責任者(個人事業主本人が該当することが多い)と専任技術者の要件を満たす必要があります。また、財産的基礎の証明方法が法人とは異なりますので、専門家にご相談されることをお勧めします。

横須賀・横浜以外の地域でも対応していますか?

当事務所では、神奈川県全域における建設業許可申請のサポートを承っております。誠に恐縮ではございますが、現在のところ神奈川県以外のお客様への対応は行っておりません。ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

まとめ

電気工事業の建設業許可を取得することで、請け負える工事の範囲と規模が大きく広がります。特に横須賀・横浜エリアでは、公共工事や大型民間工事への参入機会が増え、事業拡大の大きなきっかけとなるでしょう。

建設業許可の取得は複雑な手続きを要しますが、要件を理解し計画的に準備を進めることで、スムーズに取得することができます。特に経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たすことが重要なポイントです。

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