建設業許可の取得を検討している方にとって、欠格要件の確認は非常に重要です。欠格要件に該当してしまうと、どんなに他の許可要件を満たしていても建設業許可を取得することができません。本記事では、建設業法第8条に定められている欠格要件について、一つ一つわかりやすく解説していきます。

この記事を読むと分かること

  • 欠格要件とは一体何なのか?
  • 建設業許可が取得できないケースとその具体的な内容
  • 各要件の具体的な事例と解説
  • 欠格要件に該当していないことを証明するために必要な書類と取得方法
  • 欠格要件に関する重要な注意点
目次

欠格要件の基本

建設業許可の欠格要件とは、建設業法第8条に定められている「許可を受けることができない事由」のことです。個人事業主や法人の代表者だけでなく、役員や支店長などの営業所の責任者にも適用されます。

欠格要件の詳細解説

① 許可申請書または添付書類の虚偽記載

【原文】 許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載がある又は重要な事実の記載が欠けている場合

【解説】 建設業許可の申請時に提出する書類に、事実と異なる内容を記載したり、重要な情報を記載し忘れたりした場合が該当します。たとえば、工事経歴書に実際には行っていない工事を記載したり、必要な役員の情報を意図的に隠したりする行為などが含まれます。

② 以下のいずれかの事項に該当する場合(役員等、支配人又は営業所の長に該当者がある場合を含 む)

a. 【原文】 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

【解説】 破産手続中の方や、破産手続は終了したものの復権(破産者の資格制限が解除されること)を得ていない方は、建設業許可を取得できません。この制限は個人事業主だけでなく、法人の役員等にも適用されます。

b. 【原文】 不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等によりその許可を取り消されて5年を経過しない者

【解説】 過去に虚偽申請や不正な手段で許可を取得し取り消された場合、また営業停止命令に違反して許可を取り消された場合、その処分から5年間は新たな許可を受けることができません。これは建設業界の信頼性と秩序を守るための重要な規定です。

c. 【原文】 許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行い、その届出の日から5年を経過しない者

【解説】 処分を逃れる目的で廃業届を提出した場合、その日から5年間は新たな許可を取得できません。たとえば、行政処分が予想される状況で意図的に廃業届を出すようなケースが該当します。

d. 【原文】 許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行った事業者について、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60日以内に当該法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者

【解説】 処分逃れの廃業届を提出した会社の役員や幹部社員だった人も、その廃業届の日から5年間は許可を取得できません。この規定は、処分逃れを目的とした会社の解散と新会社設立を防ぐためのものです。

e. 【原文】 営業の”停止”を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

【解説】 営業停止処分を受けている場合、その処分期間中は新たな許可を取得することができません。営業停止期間が完全に終了するまでお待ちいただく必要があります。

f. 【原文】 営業を”禁止”され、その禁止の期間が経過しない者

【解説】 営業"禁止"処分を受けている場合、その禁止期間中は新たな許可を取得できません。営業停止より重い処分である営業禁止期間中は、一切の営業活動が認められません。

g. 【原文】 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

【解説】 禁錮以上の刑(懲役刑や禁錮刑)を受けた場合、刑期を終えてから(または刑の執行猶予期間が終了してから)5年間は許可を取得できません。

h. 【原文】 建設業法、又は法令の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

【解説】 建設業法やその他関連法令(労働基準法、職業安定法など)に違反して罰金刑を受けた場合、その執行から5年間は許可を取得できません。法令遵守の重要性を示す規定です。

i. 【原文】 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

【解説】 暴力団員、または暴力団員であった人は、暴力団を脱退してから5年間は許可を取得できません。建設業から反社会的勢力を排除するための規定です。

j. 【原文】 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

【解説】 精神の機能の障害により建設業を適切に営むために必要な認知、判断、意思疎通が適切にできない方は許可を取得できません。

k. 【原文】 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法人である場合においては、その役員等)が上記のいずれかに該当する者

【解説】 未成年者が建設業許可を申請する場合、その法定代理人(親権者など)が上記のいずれかの欠格事由に該当する場合は、許可を取得できません。

l. 【原文】 暴力団員等がその事業活動を支配する者

【解説】 暴力団員が実質的に事業活動を支配している場合は、許可を取得できません。名義上の経営者が暴力団員でなくても、実質的な支配者が暴力団員である場合が該当します。

第3章:申請時に必要な証明書類

欠格要件に該当しないことを証明するために必要な書類をご説明します:

必要な公的書類

  1. 登記されていないことの証明書
    成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の証明書です。法務局で取得でき、申請日前3ヶ月以内に発行されたものが必要です。一通300円程度。
  2. 身分証明書
    本籍地の市区町村で取得
    する証明書で、破産者でないことを証明します。こちらも申請日前3ヶ月以内に発行されたものが必要です。一通300円程度。

まとめ

建設業許可には、申請者が絶対に満たさなければならない最低限の資格要件があります。例えば、過去5年以内に建設業法などの関連法令に違反して処分を受けた方や、暴力団関係者は許可を受けることができません。

もし欠格要件に該当する可能性がある場合は、早めに行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。また、要件を満たさないことを隠して申請することは、虚偽申請として厳しい処分の対象となります。

その際は、建設業許可の取消しだけでなく、懲役刑や罰金刑を受ける可能性もあります。真摯に建設業に取り組む皆様が、このような事態に陥ることがないよう、申請時には正確な情報を提供するようにしましょう。

申請内容に応じた
報酬額の基準

申請内容の複雑さや必要書類の状況により、報酬額は異なります。
以下の3つの代表的なケースをご参考ください。

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